「はい、お互いに♪なんせ10年以上ですからね。よくぞ今までいてくれました。とっても嬉しいです」

「でもいろいろあったんですよ」

「そのようですね」

「おそらく、お互いに」

パッと見は当時とそんなに変わらない。とても50歳を越えてるとは思えない風貌と身のこなしだ。しかし近くで見る彼の年輪には人生の機微がにじんでいた。

そして2人の会話の背後に漂う同士としての奇妙な連帯感が、10年以上も過ぎた時間の壁をいとも簡単に壊してくれた。多くを語らずとも分かり合える大人の雰囲気があった。

「何年通ってくれたんでしたっけ?」

「えっと・・・おお!なんと13年ですね。今日も13年ぶりの来店です」