そんな前へ前へと向かう気持ちの背中にひろし君の気配をなんとなく感じた。勘違い、思い過ごしだろうとも思った。恐らくは長野でりつこの帰りを待っているだろうひろし君。理性的にそう思ってもどいう訳かひろし君の気配を感じていた。

新幹線は夕暮れの三河湾をすぎ、遠州灘、広大な太平洋の夕刻を車窓一面に広げて見せてくれた。