「いつも山の景色が私のそばにあるんだわ」

ひろし君と山菜採りに行ったことを思い出した。雑木が生い茂り薮が行く手をさえぎる険しい斜面を上りわらびを採る。気が付くと相当上まで登っていた。汗をかいて春の陽と風に当たる爽快感。見下ろす景色がまた素晴らしかった。背中のリュック一杯のわらびを背負いながら、まるでカモシカになった気分で義経のひよどりごえをする2人。傾斜を一気に下まで降りると見たことのない場所だったりする。

「ここ、どこ?」

大笑いをする2人だった。

「また来年の春、2人で山菜採りに行かなきゃ」