私の中で20年の歳月が消え去り、私は純粋に彼女の故郷を愛していた。愛おしくてたまらなかった。歩く誰かを見ても、彼女のことを知っていそうな気がして親しみを感じた。見る景色全て、彼女も見ていた。そう思うとそこはもう知らない町ではなくなっていた。

ゆっくりと歩いた。立ち止まって見渡してみた。空を見上げてみた。

学校帰りの子供達がにぎやかに通りすぎていった。

ふと大通りの向こうに学校が見えた。