「あ、お客さん、行きましょう行きましょう」

私を再び車に乗せ、親しげな微笑みを向けながらドアを閉めてくれた。
なんだか少し慌ただしくうだつの街並みまで来てしまった。そのタクシーとはそこで別れ、ゆっくりと脇町の空気に触れることにした。さらに観光を買って出ようとした運転手には気の毒だったが、そこまで無目的な旅でもなかった。