時折見えるまだ薄暗い梓川の流れと美しい朝の雲を眺めていて思った。これはりつこを追う旅ではなく、私自身の旅でもあるのかもしれないと。初老の運転手が口にした「四国」を偶然と捉えるのも勝手だろう。それでもいい、私は徳島に行ってみることにした。すーちゃんの故郷に行ったことがなかった。確かに今更行く場所ではないのかもしれない。しかしりつこの気持ちになって考えた時、今や「私とすーちゃん」ではないのだから「今更」ではなく、「私とりつこ」を考えれば今がその時なのだ。その機会がやってきたのだ。