「私の名前はムーア」

おごそかな声が聞こえた。姿は見えなかったが、それは以前飼っていたセキセイインコだとわかった。私はピーちゃんと呼んでいた。

13年前に都落ちして故郷秋田に戻ってきたときに、秋田駅前の小さなペットショップで思わず買ってしまった。生まれたての小さなインコだった。異常に私になついた。部屋の中では放し飼いにしていたが私の行く先々に着いてきた。風呂にも着いてきた。そのセキセイインコの魂のような存在が私に話しかけてると感じた。