その瞬間、人波の一点が薄く光った。

いた！

駆け寄って彼女の名前を呼んだ。驚いて一瞬立ち止まった彼女。後ろから押され再び歩き出す彼女。並んで歩いた。喫茶店に入った。はにかみながら再会の驚きを話す彼女。笑ってくれた。そんな自信がどこかにあったから出来た行動。

「電話していい？」

電話番号を交換した。帰りぎわ、人目も気にせずキスをした平塚の駅前。夕暮れ、かすかに海の匂いが風にのっていた。

それから、それから・・・何度も電話で話をした。