幸せの構図

そ~っと開けると思ってたカーテンを一気に開けた。窓枠にくくられた小さな夜空いっぱいに光が注ぎ込んできた。計算どおりだった。
長野の寒空に浮かぶ中秋の名月が一気に2人を包んだ。
その神々しさに2人は息をのんだ。

彼女がそっと寄り添ってきた。風呂上がりの短い髪がいい香りだった。

「ひろし君って、本当にクサい演出が好きだね」

甘い声でさらに私に寄りかかった。