私立慶蘭女学園高等学校

この辺りでは名の知れた、お嬢さま学校
偏差値は上の方で、学費も高い
ここの学校出身だと言えば、誰もがおしとやかで優しげな少女を思い浮かべるような学校だ

私は今日から、この学校に通う1年生
私をまるで人形かペットのように溺愛する母親が、ご丁寧に私が何も言わないうちからこの学校に進学させることを決めていて、私は素直にそれに従った。
本音を言えば、私は理系の進学校に進みたかったのだが、私に意見はない。いや、意見を言う権利はない。私が母親の意思に背けば、母は泣きながら、私を部屋に閉じ込めるか、暴力を振るうのだ。父は出張でほとんど帰ってこない。まあいたところで、母に逆らうことはできないのだが。
幸いここに入るだけの学力はあったので、何の不安もなく入学できた。
だが正直、私にはこの学校は似つかわしくないと思う。
中学時代友達を作ることもなく、読書と勉強ばかりしていた私は、地味で活気というものがなかった。クラスメイトは、私の存在なんて見えていないかのように全く気に止めていなかった。私もそれを望んでいた。
楽しそうに遊ぶクラスメイトを見ても、幼さしか感じることはなく、むしろ一緒にいることで疲れを感じていた。
大人と話している時は、中学生特有の不安定な感情に気を使うこともなく幾分楽だったが、どうしても大人の人間関係の薄っぺらさや愚かさが目について、私自身もニコニコと薄っぺらい笑みを浮かべることしかしなかった。
こんな私が、見るからに華やかな同級生達と上手くやっていけるとは思えない。
高校生活も中学と同じように、1人で静かに過ごそう。そう思っていたのに...