「桐ヶ谷くんすごく早かったね!ビックリしたよ」

梨華ちゃんがすごく驚いたみたいで少し興奮してた

「うん。翔くん早すぎて目で追いかけられなかったね」

そんなことを梨華ちゃんと話していると

「ただいまー‼どうだった?私の走り」

笑顔で凛ちゃんが私たちのところに来た

「おかえり凛ちゃん!とても早かったよ!一人越したもんね‼かっこよかった」

「おかえり!とてもよかったよ!他の男の子もビックリしてたよ」

私と梨華ちゃんが凛ちゃんに感想を言うと

「ありがとう!やっぱり持つべきものは友だね」

何て言って笑顔で喜んでいた

凛ちゃんはいつも笑顔で元気だからこっちまで明るくなっちゃう

「雪菜!」

いきなり名前呼ばれて振り返ると翔くんが息切れながら立っていた

「あ、翔くん。見てた─」

「わりぃ、ちょっと隠れさせて」

「え?どうしたの?」

何かあったのかな?

「話しは後でするから頼む!」

翔くんがこんなに焦ってるの珍しい

とにかく隠せばいいんだよね

「分かった。上手くいくか分からないけどやってみる!」

私は翔くんにそう言い、梨華ちゃん達の方を向き

「梨華ちゃん、凛ちゃんお願い!協力して」

二人にそう言うと

「りょーかい!任せて‼」

「雪菜ちゃんの頼みなら仕方ないね」

凛ちゃんと梨華ちゃんの協力してもらって翔くんを隠すことにした

すると

「あれー桐ヶ谷くんどこ行ったんだろう?」

「さっきまでここにいたよね?」

「見失っちゃった…」

「勧誘しようと思ったのにー」

複数の女子がそんなこと言いながら通りすぎていった

「はぁ〜助かった。サンキューな」

翔くんが安心したような顔をしながら私たちにお礼を言った

「役に立てたならよかった。それで、何で隠れる必要があったの?」

私がさっきの疑問を聞くと

「さっき何人かの女子が俺を探してただろ?あいつらリレーが終わったあとに『部活に入らない?』とか『連絡先教えて‼』とかギャーギャーうるさくてそのままスルーしたんだけどしつこくついてくるから逃げてたってわけ」

まぁ、あんなに早かったらいろんな部活の人達が欲しがるのも分かるし、走ってる時の翔くんは私から見てもかっこよかったから女の子達がさわぐのも仕方ないよね

翔くんも大変だね

話を聞きながらそんなこと思った

「桐ヶ谷くん、リレーで注目浴びちゃったからそうなってもしょうがないよね」

「いつかの凛ちゃん状態だったわけか」

凛ちゃんと梨華ちゃんが納得したように言った

梨華ちゃんが言った凛ちゃん状態というのは

体育で50メートルのタイム測定した時に女子とは思えないタイムを出していろんな部活の勧誘されてたときの事を指しています