「俺、明日引っ越すんだ。でも、大人になったら必ず戻ってくる。だから、大人になったら結婚しよう。約束だ」

そう言われたとき私の頭の中に何かが走馬灯のように駆け巡った

『あたし、きょうひっこしてきたきさらぎゆきなです。よろしくね』

これは翔に初めてあった日の事だ

『しょうくん、もっとにくほしい!』

これは翔の家族と一緒にバーベキューしたとき

『んーじゃあ、あたしカルボナーラにする!しょうくんは?』

これは翔の家族と一緒にファミレスに行ったとき

『しょうくん、たすけてくれてありがとう!ヒーローみたいだったよ』

これは私が年上の人に絡まれたときに翔が助けてくれたときの事だ

そしてその1週間後

私は事故に遭った

全部…思い出した

でも翔の話はまだ終わってなかった

「って10年前に言ったけど俺のせいで雪菜は事故に遭った。だから俺は雪菜を側で守れるようになりたいって思った。それで親に頼んで約束より前にここに戻ってきた。でも、10年ぶりの雪菜はすごく綺麗になっていて好きって気持ちがどんどん溢れ出てきてもう止められないんだ。だから」

すると頭になにかが乗った

これって…

見たらシロツメクサで作られたティアラだった

「雪菜、左手だして」

左手出すと翔は薬指に指輪をつけた

「少し速いけど、高校卒業したら俺と結婚してください」

翔…

「…はい」

翔の言葉に私はしっかりと頷いた

「翔、私思い出したよ」

私か笑顔で言うと

「フッ、やっとか。おせーんだよ。思い出すのが」

言葉はきついけど翔の顔は笑っていた

「えへへ。ごめん。でも、指輪とかティアラとかどうやって用意したの?」

私はそこが気になっていた

「実はみんなに協力してもらったんだ。梨華ちゃんには10年前と同じような野原を探してもらって、凛ちゃんにはシロツメクサのティアラの作り方、優斗には特注の指輪を作ってもらって蓮は演技指導と雪菜をここにつれてくるように頼んだんだよ。雪菜の記憶を取り戻すためにな」

みんな、私のためにしてくれたんだ

だからみんな忙しそうだったのか

みんな、ありがとう

私は心の中でお礼を言った

「翔」

私は笑顔で

「私の記憶を取り戻してくれて、約束を覚えててくれてありがとう!」

抱き締めながら言った

すると翔も抱き締め返しながら

「雪菜、もう二度とお前を危険な目に遭わせないから。俺が必ず守るからな」

私に優しくそう言ってくれた