暑さがまだまだ残る9月。

僕らは生徒会室にこもっていた。

北館のよく日のあたる位置にある生徒会室は、風も通らない。

「ったく。なんでこんな日に集まんなきゃなんねぇんだよ!」

ぼやいているのは2年で会計の和也さん。

茶髪でチャラそうに見えるけど、実は一番誠実だったりする。

「しょうがないだろう。理事長がくるんだ。ここでないとダメだろう。」

なだめているのは副会長の凛さん。

眼鏡をかけて真面目なんだけど、とても天然な人。

「そりゃそうだけどよー。なんだって、この部屋にエアコンねーんだよ。」

それは、僕も思う。よく日のあたって熱のこもるこの部屋にはエアコンがない。

室温は上がるばかりで、汗が止まらない。

「金無いんじゃねーの?だって、この学校結構古いんだろ?」

和也さんはまだまだぼやきが足りないようで、凛さんに絡みにかかっている。

「暑いから、肩に腕をまわすな。それからそのツンツンするのも止めろ。」

言われて和也さんは凛さんの頬をツンツンするのをやめた。

無理やりどかされた和也さんはもう一度凛さんに絡みにいくが、もう相手にされなくなっていた。

やばい。このままじゃ、こっちに来る。

目線を下げる僕の肩に重みを感じた。

「なー、お前も暑いよなー?」

やっぱり来た。どうでもいいけど、この人はずいぶんな寂しがり屋だと思う。

「なー、由樹ちゃんよ。ここにもエアコンつけるべきだよなー?」

「重いです。それに苦しいので離れてください。」

僕はのせられた腕をどかしながら言う。

「俺は暑いなか任務をこなさないといけないと思うと、苦しくなってくるぜ。」

「見てるだけで暑苦しいから、離れろ。」

ペシッと和也さんのあたまを叩いたのは、生徒会長の誠さんだ。

容姿端麗で頭脳明快。誰もが憧れる人。

「いってーな!ていうか、お前よくそんな平然としてられんな。」

「うるさい。そろそろ理事長来るぞ。」

言われて時計を見てみると、確かに集合時間になっている。

僕らは集合時間の15分前集合が基本だから、こうして早めに集まっている。

「ほんとだ。じゃあ、そろそろ定位置についとこうか。」

僕らは座る場所が決まっている。

扉の向かいの机に誠さん。それを中心に、右側に凛さん。

その右側に和也さん。

僕は誠さんの二つ左の机に座っている。

つまり、会長と書記の間には独り分の机がある。

まあ、会計補佐の席なんだけど。

コンコン。と扉をノックする音がする。

「どうやら、来たみたいだね。」

凛さんが僕をみる。僕はうなずいて、扉まで歩く。

僕は扉を開けて頭を下げる。きっと、後ろの三人も同じだろう。

「お待ちしておりました。どうぞ。」

僕はソファーに案内して、座るように促す。

「急に悪いね。」

理事長は笑う。