接客へと戻り、
宴の時間が過ぎ行き…
目まぐるしく仕事を終えた後、
喬子は、
ひとり 控え室で、
麗子ママに言われた言葉を 思い返していた。
“何故、 ふたりとも と言った?”
“とうとう って…
前から気付いてたのなら、何故?
私をスカウトしたママが、
私を庇ってくれない?”
悪いのは向こう。
一方的にされてる私の方に…
“ちゃんと考えなさい” …って………何故……”
そして、
“程度の低いホステスは、いません”と言った
麗子ママの言葉を思い出し、
喬子は、ハッと 気付いた。
““私をスカウトしたママが、何故 私を庇ってくれない?”なんて発想になっては、ダメなんだ。
味方に裏切られた気分になって心が後戻りしたら、
そこで、この道は終わってしまう。
そんな発想ではいけない。進歩はない。
“低レベルの相手にされるようではダメだ” って、
麗子ママは、教えてくれたんだ。
そうか。
いちいち巻き込まれるようでは、ダメってことだ。
時間が勿体ない。
器の大きな人間に なりたい…
低レベルな相手として見られぬ様、
貫禄のある人間にならなくては…”
喬子は、麗子ママから
宝となる
新しい知恵を 学んだ。
霧の中から、
本気の人生の続く 先の道が、新しく見えた気がした…


