HARUKA~恋~

彼が目指していたのは、有名なパスタ屋さんだった。

並んでメニューを見るや否や、彼の顔がぱっと明るくなった。


「オレはここのカルボナーラをずっと食べたかったんだ。もう今日までどれだけ待ったことか…」


本当に好きなんだなと思った。

私に見せる笑顔とは違う。
好きなものに対して自然と作られる笑顔だ。

この笑顔が自分に向けられる日がいつか来ると良い。


「蒼井さんは何にする?」


遥奏くんの探るような眼差しが私の心臓の動きを止める。



私は…




キミを注文しようかな。





何て言わなかったけど。