HARUKA~恋~

「おはよぉ」

「あっ…おはよう」


大きな欠伸を1つして遥奏くんは登場した。

その様子もなんだかかわいく思えてくるのは、ちょっと異常者だろうか。


「今日はよろしく」

「うん…」


宙太くんが大会に向けて練習があるため来れないと昨日知らされた私は、その瞬間から心臓がバクバク鳴り止まなくて、夜もあまり眠れなかった。

彼は低血圧。
私は高血圧。

どちらが倒れてもおかしくないなぁなんて思った。






駅から病院までの道は長く感じた。

駅から徒歩15分だから、そんなに長距離という訳でも無いのに異様に疲れたのは、きっと遥奏くんが隣を歩いていたからだ。
そのせいでずっと緊張の糸がピンと張りっぱなしだった。

私が3歩下がって歩いていると、彼は私に歩調を合わせてくれるのだ。

無言の配慮がしみじみと伝わって来て、心がじんわりと温かくなった。


遥奏くんの優しさを初めて感じた瞬間だった。