「え?」

 その人は不思議な光を放っていた。

 体全体に光のベールをかぶっているような。

 ドアを閉めて、上に上がっていくゴンドラを見上げた。

 白いワンピースの女性。

 ストレートの長い髪。

 哀しげな目をしていた。


 観覧車が1周して、再びそのゴンドラが戻ってきた。

 しかし。

 そこには、誰も乗っていなかった・・・。

(どういうことだ)

 確かにこの番号のゴンドラに乗せたはず。

 なのに。

 起きたまま夢でもみたのだろうか?

 いや、そんなはずはない。

「どうかしたか?」

「最後のお客さん、どんな人だったか、覚えているか?」

「え?何で?」

 俺は先程の出来事を説明した。

「お前も見たのか・・・」

「お前もって、それはどういう意味だよ!」

「少し落ち着けって。このあと、時間、あるか?」

「ああ」

「じゃあ、ちょっとつきあえ」