観覧車のモノローグ

 今晩会ったら、伝えたいことがある。

 俺はもう明日にはあの場所にいないのだから。



 7日目。

「何だか、晴れやかな顔をしているな」

「まぁな」

 すべては終わってから話そうと思う。

 彼女が今晩現れるかどうかも、確証がもてないから。

 そして。

 彼女は、現れた。

 初めて、ここに現れたときと同じ白のワンピース。

 髪だけが肩までの長さだった。

 最後に会ったあのときのそのままの姿だった。

「最後だから、一緒に乗って来い」

 こちらから言い出す前に、背中を押された。

 彼には見えていないはずなのに。

 ゴンドラに乗り込んだ。



 彼女と向かい合わせの席に座る。

「今日はね、ちゃんとお別れに来たの」

「お別れって・・・」

「あなたに会いたかった」

 何で、気づかなかったんだろう。

 ここで見かけた最初の日に。