「あと、1週間か」

 大学の夏休みの間だけのアルバイト。

 場所は遊園地。

 お客さんが乗り物に乗る際のチケットの確認が主な仕事だった。

 でも、その仕事はあと1週間で終わる。



 出勤早々、事務所に呼ばれた。

「今日から1週間、観覧車の方に場所を変わってもらえるかな」

 配置換えの連絡だった。

 もともと入っていたバイトの奴が、怪我をしたとかで代わりにそこに入ってほしいということだった。

「わかりました」

 開園の時間まで、あと少し。

 目の前の観覧車を見上げる。

 いつもは違う場所から見ていた。
 
 最後の最後にここに配置されるとは思わなかったけれども。



 夏休みということもあり、遊園地は盛況だった。

 観覧車も長い行列ができている。

 様々な組み合わせの人たちがやってくる。

 中高生の友達同士、カップル、親子づれ。

 年配のご夫妻なんかもいる。

 たまにあやしい組み合わせもいたりする。

 どう考えても親子には見えない二人とか。