「いらっしゃいませ!」
ざわざわとした店内。

「風舞くん8番テーブル、指名入った」

チーフの指示に従い『私』は8番テーブルへ向かう。

「お待たせしました、優希さん。お久しぶりです。
ご指名ありがとうございます。」

20代後半ぐらいだろうか、
明確な歳は聞いたことがない。
とても身なりの整った女性が、待っていた。

「風舞くん、久しぶり?
最近仕事が忙しくて
風舞くんに会いに来れなくてごめんなさいね?」

「いえ、お仕事は大切ですから。それに……」

優希さんの耳元で囁く。

「僕に会いに来てくれただけでも、
とっても嬉しいですよ?」

「もう、風舞くんたら?
風舞くん可愛いから、今日は
シャンパン開けちゃおっかな?」

「え、良いんですか?
ありがとうございます!優希さん大好きです!」



ここは【クレイ池袋店】。
『私』澄原風香御年20歳女が
『澄原風舞』として働くホストクラブだ。
何故に女の私がホストクラブで働いているかって?
それは1ヶ月前に遡る。