夏は嫌いだ。


暑がりの私からすれば尚更だ。


部活に行く前に自販機で買ったペットボトルはもう冷たさを失っていて、中に入っている水は生ぬるかった。


部活を見に来ていた私の友達は、あつーい。なんて言いながら、短いスカートをぱたぱたと仰ぐ。なんてだらしない。


まあ、そうなるのも無理はないだろう。


暑いのだ。ホントに。夏真っ盛り。


何もしなくても、外に出れば勝手に汗が出るくらいには暑い。お陰で私の飲み物はこうして生ぬるくなっているわけなのだが。

それに加えて、夏になれば当然、部活の時間は増えるわけで。


暑がりの上にバテやすい自分にとっては最悪としか言いようがない。


今なんて、まさに、バテて休んでいるのだから。

あーもう、最悪。



「あ、」


ふと、スカートをぱたぱた仰いでいた友達が声をあげる。


友達の視線の先は、


「あー、あいつね。」


一際目立つ1人の男子だった。クラスは違うけど、学年は同じで、小学校では1度同じクラスになった事はあった。


「あの人、運動神経いいよね。素人の私でも上手いって分かるよ」


すごいねー。なんて言って、私のペットボトルを取り上げて、ゴクゴクと飲み始める。


「あいつ、運動出来てもチームワークがダメダメなんだよねー」


「アンタじゃん」


「まあ、そうだけどさ。」


「あ!だから部活帰り、いつも2人で帰ってるのか!」


ぱっと合点がいったように話す友達。
何ぞや。わけわかめ。どゆことですか。


「ほら、アンタら似た者同士じゃない?チームワークダメダメで、頭はそこそこいい方だし」


そこそこって...。失礼な。


「あの人程じゃないけど、アンタもそれなりに運動できるじゃない?」


考えてみれば、共通点結構あるよね。と、友達は、ペットボトルの中身を全て飲み干してしまった。


「それがどうしたの?」


「ほら、類は友を呼ぶっていうじゃない?」




類は友を呼ぶ...ね。








果たして、あいつを友と呼べるのだろうか。