そう思うと急に話したくなって、台所まで急いで行く。

ちょっとだけ若の気持ちも分からんでもない。ただ、食事もお預けにされんのは二度と懲り懲りだけど。

台所にたどり着いて中を覗くと、そこには待ち望んでいたここちゃんではなく、暁が1人で夕飯の支度に追われていた。

「あれ?暁だけ?」

「うお!?…信洋さんも森末さんも、もういいんすか?」

「おー。でも腹減った」

「うどん温めるんで待っててください」

どんだけ集中してんだか。大袈裟に驚いた暁は、何事もなかったかのように手早くうどんを温め始める。

腹鳴りそう…。台所に充満し始めるうどんの臭いに、空腹が刺激されるのをこらえながら、用意されるのを待った。

「ここちゃんはー?」

「若と一緒なんじゃないっすか?昼食べてから若すぐに琴音捕まえに行ったんで」

「へー…まぁ、お嬢も一緒だろうし大丈夫…」

「あ、信洋おはよう!あんまり起きないから、油性ペンで落書きしてやろうと思ってたのに」

台所に飛び込んできた声に耳を疑った。

お嬢の声?え、お嬢若たちと一緒じゃないわけ?いつから…?