「季龍さん?」

「…寝る。ここにいろ」

「コク」

カーテンは開けたまま、布団の上に戻っても琴音は怖がることはない。

寝転がっても怖がらない…が、ズルズルと移動して離れていく。

「逃げんな」

「あう」

引っ張り戻れば、今度は顔を赤くさせて腕の中に大人しく収まった。

頬を撫でれば目を閉じて、抵抗するどころか体を預けてくる。

逃げたかと思えば、捕まえれば大人しくなりやがって…。調子が狂う。

「籠の中の鳥でいいのか?」

「…や、です」

「なら、男の腕ん中で目閉じるんじゃねぇ」

「ふぁい…」

とか言いながら目を閉じた琴音は、そのまま寝やがった。

「…無防備」

ほっとけねぇな。こいつは…。

腕の中に収め、目を閉じる。腕の中のぬくもりに安心しつつ、久しぶりに感じた心地よい眠気に身を任せた。

季龍side end