「っいや!いや!!!」

「っ!?琴音!」

急に暴れ出した琴音をなだめようにも、全く耳に入っていないように暴れようとする。

「こと…」

「やめて、お坊っちゃま…」

「!?」

こいつ、また…。

でも、別れる前は怖がらなかった。たまたま怖がらなかっただけか、それとも状況が…。

不意に光が差し込む。その光に琴音は一瞬動きを止める。

まさか。

頭を抱えて怯える琴音を無理矢理抱き上げ、窓の前まで移動して一気にカーテンを開ける。

直後、部屋に差し込んできた光に琴音は大きく体を震わせると、恐る恐る顔を上げる。

まだ怯えが消えきっていないその目は、周囲を見渡したあと、ようやく俺を見る。