「あぁ!?ことねぇこんなとこまで降りてきてたの!?」

「!?」

黙々と雪を路肩へ避け、村へ降りる唯一の山道を突き進んでいると、背後からの大声に驚いて飛び上がる。

振り返るとしっかりと防寒具に身を包んだ梨々香ちゃんが走ってきて、息を切らせていた。

あ、あれ?そういえばお屋敷が見えない。

抱きついてきた梨々香ちゃんを受け止めるけど、直後にどこまで行ってるの?と怒られてしまった。

「ごめん、ね。…つい」

「もう!ことねぇは頑張りすぎなんだから!」

頬を膨らませた梨々香ちゃんに、誉められているだか、怒られているんだかよく分からなくなる。

すぐに機嫌を直した梨々香ちゃんに手を引かれ来た道を戻り始める。

「お兄ちゃんたち来れると思う?」

「…」

それには苦笑いをするしかない。

むしろ私たちも孤立状態になっているような状況で、整備がまともに行き着いていない山道を進むのはあまりに無謀だ。

そしてそんな無茶をすることは止められるに違いない。そもそも通行止めになっているのが火を見るより明らかだ。

連絡手段を持たない状況で連絡は無理でも、季龍さんたちの到着が延期になるのは分かりきってる。