―客観視―

非常灯以外の電気が最小限にされる病院内で動く影。

宿直で院内を回る看護師の目を掻い潜って動く影は、暗殺に慣れているかのように闇の中を自由に動く回る。

影が足を止めたのは、名前のない病室の前。だが、彼らは目標がそこにいると確信していた。

1人がドアに手をかける。合図が下った瞬間開け放たれたドアに雪崩れ込むようにして部屋に侵入した影は1つだけあるベッドを取り囲み、銃口を突きつける。

生命維持装置の音が部屋に響く。

銃口を向けていた1人がゆっくりとベッドに手をかける。一気に掛け布団を取り去った影は目を見開く。

そのベッドはもぬけの殻。そこにいるはずだった少女の姿はどこにもない。

「どこだ!?」

「まだ病棟は出ていないはずだ。探すぞ」

取り乱した影だか、1人の男の声に落ち着きを取り戻す。