「暁、くん」

「は!?」

「…暁くんは、悪くないよ」

「…姉貴のことは、お前に関係ねぇだろ」

「っ関係なくない!!」

暁くんの肩が跳ねる。でも、すぐに睨み付けられる。

それ以上踏み込んで来るなと言うように、分厚い壁を目の前に築かれたみたいに…。

初めて出会ったときと同じだ。踏み込まないように、近づきすぎないように…。自分の大切なものにならないようにするために、ある程度の距離を置いたままでいる。

でも、今の私たちはそんな壁壊せるよね…?

「暁くんは、私を、助けてくれた。傍にいてくれて、励ましてくれた!そんな、暁くんを、…恨むような、お姉さんなの!?」

「ッ…うるせ………お前が、知ったようなこと言うなよ!!」

「暁くん!!」

今度こそ振りほどかれて暁くんは台所を出ていく。

平沢さんは訳がわからないと言うように暁くんが去っていった方向を見つめた後、私に視線を向けてきた。