「…やっぱ、変だよなぁ」

モヤモヤは違和感に変わり、そしてここに来て確信へと変わる。

“ここちゃんは若を庇った”のは俺たちの思い込み。

ここにはその証拠がある。

周囲を見回してもそこにあるのは雪だけで、証拠を見つけるのは少し骨が折れそうだった。

でも、やるしかない。のちのち今度こそ取り返しのつかない事態になりかねないと、警鐘を鳴らす俺の勘を見逃すことは避けなければ。

動き出そうとしたとき、耳を掠めたのは雪を踏みしめる音。その音に顔を向ければ目を丸くした平沢さんがいた。

「お前も気づいたのか?」

「平沢さんも…?」

どうやら目的は同じらしい。

俺の隣に立った平沢さんは忌々しそうに木の上…ここちゃんを撃った奴が身を潜めていた場所を睨んだ。