「最善を尽くします。あなたは、彼女を守るために覚悟を決めてください」

「んなもん、とっくにできてる」

「…彼女に帰る場所を用意してくださいね」

名蔵はレントゲンを照らす電気を消し、立ち上がる。

話は終わりらしい。立ち上がると部屋を出て病院を後にする。

車で待っていた信洋は俺の姿を見るなり車から飛び出してきた途端、その顔は安心したように緩みやがった。気色わりぃ。

「若、ここちゃんは」

「…一生、目を覚まさねぇかもしれねぇ」

「え?」

「医者の言ったことだ。可能性はあるらしい。…目が覚めても、障害は残るだろうとも」

「それって」

「関係ねぇだろ」

「え?」

すぐ呆ける信洋に蹴りを入れて車に乗り込む。

運転席に座る平沢とは視線が重ならねぇ。当たり前だろう。昨日、あんな醜態をさらしたのだから、認められないのも当たり前だ。