「回復がお早いですね」

「あ?」

「若、ガン飛ばさなくていいから」

「誉めてるんですよ。よくも5日でここまで回復したもんです」

白々しいような医者の言葉にイラついたのは自覚したがなにも言い返さなかった。

あの日から5日。

火傷の治療のために入院させられていたが、それほど重症でもなかったのか、退院の許可がおりた。

今はその最終確認と言う名の診察で、担当の医者である名蔵は意味深な笑みを浮かべていた。

「薬は飲んでくださいね。診察にもちゃんと来てください」

「分かってる。…それより、琴音はどうなんだ」

俺の担当であると同時に琴音の執刀医であり、担当の医者である名蔵。

俺たちが落ち着いたのを見計らったのか、あの日の翌日に琴音の容態の詳細を聞かされた。

正直、生きているのが不思議だと言われた。

右肩、左の太もも、右胸に銃弾が貫通、右頬に擦過傷…。

それに加えて火傷、打撲傷が全身にあったらしい。