「ここちゃんが死にかけてるんですよ!?…なのに、のんきにこんな……」

「琴音は死なない」

「ッ医者は、今夜が峠だって言ったんですよ!?」

「死なない」

「平沢さん!!」

「はぁ、あのなぁ。お前らがそんなんでどうするんだよ」

平沢は缶コーヒーを開けるとそれを一口飲む。

その余裕さえ見える姿になぜか視線が外せなかった。

「琴音が死にかけてることなんか分かってる。俺たちに出来ることが何もないことも、よぉく分かってる。…無力な自分が嫌で仕方なくなるし、こうなる前にどうにかできなかった自分を殺したくなる」

肩が跳ねる。図星を突かれた気がした。

琴音を守れなかったことを、手を離したことを、琴音を信じきれなかったことを…。

悔いて、悔いて、それでもどうにもならない現実に絶望した。

平沢は、それを見抜いていたのか…?