「…若」

「…」

「何落ち込んでんだ」

不意に響いた声にのろのろと顔をあげる。

袋を下げた右手をポケットに突っ込んでいる平沢さんだった。あの場を任せた平沢さんがここにいるということは、向こうは片がついたのか…?

「平沢さん」

「なんつう顔してんだ。これでも飲め」

「いや、今は…」

「お嬢、泣きすぎだ。落ち着け」

「っう゛ぅ……」

「ほら、早く泣き止め。目真っ赤だ。…若は何飲みます?コーヒー?ジュースか?」

「ッ平沢さん!!今は無理ですって!」

問答無用で飲み物を押し付けていた平沢が信洋の声に動きを止める。

だが、信洋に向けた目は何をいっているのか分からないと言うようだった。