『季龍さん』

呼ばれてる。

聞いていたい声。聞きたかった声だ。

姿が見えたとき、その姿は光の中に溶けていった…。

溢れる光に目を細める。その光になれてくると、人影が見えてきた。

「…りり、か……?」

「ッ!?お兄ちゃん!!」

「目覚めたか」

「若、いきなり倒れんなよ…」

声がかすれる。体が言うこと聞かねぇ。全身に鉛をつけられたような感じだ。

何とか手を動かして、泣き始めた梨々香の頭を撫でる。

なんで、俺は病院なんかにいる?

考え始めた時、頭の中で一気に記憶が弾けた。