季龍side

いつの間に動いたんだ。

どうして、お前が倒れている…?

目の前に広がった光景にしばらく理解できなかった。

「…こと、ね……?」

自分の声が酷く掠れていた。

しばらくして、背筋に何かが這っていったように気持ちの悪い感覚が駆け抜けていく。

「ッ琴音!!」

「若!伏せろ!!」

反射的に身を伏せた瞬間、頬に熱い何かが駆け抜けていく。

狙撃。頭の中に浮かんだのはそれだった。

拳銃を持っていた中野は既に取り押さえられている。それに、今の角度は確実に中野の射撃ではなかった。

つまり、他に狙撃手がいる。

視線を走らせた時、不意に不自然な反射した光を見た気がした。

「相須!10時の方向、70度!!」

「ッいました!」

「撃て!!」

永塚組の中でも1、2を争う狙撃の腕を持つ相須がすぐさま反撃に出る。

それを合図に琴音の体を抱き上げる。