睨み付ければばつが悪そうな顔をする。

だが奴のことは後だ。今はこの男を放置することは出来ねぇ。

視線を戻す。父親の表情はなにも変わっていなかった。

「答えろ。琴音に何をした」

「…」

「…答えろって言ってんだろ!!!」

前に出ようとした時、不意に服を捕まれたような気がした。視線を向けると、それは気のせいではなく、確かに服をつかむ琴音の手があった。

「…き、りゅ………さ」

か細い声が途切れ途切れに俺の名前を呼ぶ。

疲れきり、目を開けているのもやっとに見える琴音の顔に、意識も視線も奪われた。

「…ご、……か………」

「っ琴音、もういい話すな」

「………」

無理をさせたくない一心で言った言葉に琴音は首を横に振る。