「それで、お前はどうするっていうんだ」

「お姫様の居場所なら分かる。助けに行くなら、俺も行く。あんたたちが行かないなら、1人ででも、お姫様を助けに行く。俺ができるのは、それくらいだ」

「どうして分かるなんて言える?俺たちが血眼で探しても見つからないんだぞ」

信洋の問いに奴はスマホを取り出した。スマホには地図と点滅するポイントが写し出されていた。

「お姫様の服に発信器を着けた。俺の仲間が偵察に行って、お姫様がいることは確認してる。…この情報は嘘じゃない!もしここにお姫様がいなかったら、俺を殺してもいいっ!なんなら、お姫様を助けて、ここに連れてくる!だから…」

奴の言葉を最後まで聞くことなくスマホを奪い取った。

…ここは、昔関原が隠れ蓑に使っていた宿の跡地か。灯台もと暗しという言葉が頭をよぎる。

まさか、こんなところに隠れてやがったとは…。過ぎた時間を悔やんでいる時間は、ない。

「…信洋、平沢、動ける奴全員集めろ!琴音を取り戻す!」

「了解!」

「場所は?」

「関原の元第二拠点。移動しながら構造は話す。とにかく一刻も早く出発する」

一気に動き出す音が響く。廊下で聞いてやがった奴らが走り出したらしい。

だが、それでいい。とにかく1分でも1秒でも惜しい。琴音の無事を確認できるまでは、止まれない。