襖の開く音が響く。入ってきた奴らの顔に、希望はない。

「…見つかりませんでした」

「分かった。お前らは休め」

「…もう一度探しに!」

「ダメだ。ローテーションはちゃんと守れ」

「しかし!!」

反論しようとして来た奴を睨み付けて黙らせる。

闇雲に探して見つかるとは思えねぇ。逃がした中野とあの男は同業だ。闇に紛れることなど造作もないだろう。

それでも、捜索隊を出すのは動かないことで焦る心を少しでも和らげるためだ。

そもそも期待していない捜索を無駄に増やすことは、いざという時に最大の致命傷になる。

それだけは何としてでも避けなければいけなかった。

「休んでこい。いつでも、闘えるようにだ」

「…はい」

平沢の言葉に諦めがついたのか、報告に来た奴らは下がっていく。

再び落ちた沈黙に、緊張感が募っていった。