「…………………………」

「…………………………」

声がする。徐々にはっきりしてくる声は妙に似ていて、よく聞いていないと1人で話しているように聞こえてしまう。

何とか目を開けると一瞬眩しくて閉じる。それでも何とか慣れて見えたのはノンクリートの床だった。

「琴音ちゃんだけでも解放しろって言ってんだろ!!」

「だーかーらー!それは無理だって言ってるだろ!兄貴だけならいいけど」

「琴音ちゃんを解放しないなら、俺も残るって言ってるだろ!」

はっきり聞こえた声にはっとして、顔を向けようとして急に動けないことに気づく。

頭痛い…。ここ、どこ?

確か梨々香ちゃんに連れられて、季龍さんたちと一緒に外に出て、知らない人が来て…。

っそうだ。私、浚われたんだった。じゃあここは、敵のアジト…?

「っう…」

「あ、お姫様も起きた」

「琴音ちゃん!?」

何とか起き上がると、自分に向いている2つの顔に驚いた。

か、奏多さんが2人…?