大量の荷物を持って店を出ると、すぐに車の中に詰められていく。
それにしても、梨々香ちゃんは一体何をそんなに買ったんだろう…。
「ことねぇ、飾りつけしようね!」
「コク」
でも、こんなに楽しそうな梨々香ちゃんを見るのは久しぶりで、季龍さんが甘くなったのも少しだけわかった気がした。
「っ若!!」
「あ?」
不意に響いた声に全員が振り返る。息を切らせて走ってくる男の人が1人、脇目も振らずに駆け寄ってくる。
…誰だろう、この人。知らない人。
「奏多?お前どこ行ってたんだよ」
「っえ…?」
信洋さん…?
目の前までやって来たその人は、膝に手をついて呼吸を整える。
“目の前まで来てるのに誰も、警戒しない。”
その異常事態に混乱した頭は働いてくれない。
その間にも呼吸を整えていた人は顔を上げる。


