私のご主人様Ⅳ


大量の荷物を持って店を出ると、すぐに車の中に詰められていく。

それにしても、梨々香ちゃんは一体何をそんなに買ったんだろう…。

「ことねぇ、飾りつけしようね!」

「コク」

でも、こんなに楽しそうな梨々香ちゃんを見るのは久しぶりで、季龍さんが甘くなったのも少しだけわかった気がした。

「っ若!!」

「あ?」

不意に響いた声に全員が振り返る。息を切らせて走ってくる男の人が1人、脇目も振らずに駆け寄ってくる。

…誰だろう、この人。知らない人。

「奏多?お前どこ行ってたんだよ」

「っえ…?」

信洋さん…?

目の前までやって来たその人は、膝に手をついて呼吸を整える。

“目の前まで来てるのに誰も、警戒しない。”

その異常事態に混乱した頭は働いてくれない。

その間にも呼吸を整えていた人は顔を上げる。