私のご主人様Ⅳ


一瞬、抵抗する力を抜く。瞬間的に緩んだ相手の手を逆手に持ち、一気に捻り上げた。

「っいででで!?」

「な!?」

はぁ、外に出る機会なんてほっとんどないのに絡まれるなんて最悪だ。

って、軽く捻ってるだけなのに情けな。ぱっと手を離すと、手首をさすったその人は、瞳を怒りの色に染める。

「っ調子乗りやがって!!」

拳を振り上げてきた人にため息をつく。短気だなぁ。

とりあえず1歩下がって間合いを取る。突き出してきた拳を半歩下がってかわした上で腕をつかんで引き、右足で相手の脛を蹴る。

意図も簡単に床に転がった人に仲間の男の人は驚いて固まってしまった。転がった人も何が起こったのか分かっていないのか目を瞬きさせている。

あれ、そういえば梨々香ちゃんどこに行ったんだろう。いつの間にか姿が見えない…。

探しに行こうとした時、目の前に現れた人に思わず目を閉じる。抱き止められたと同時に乾いた音が響いた。