「まぁいいんじゃない、若。ここちゃんだって学校以外にも行きたいでしょ」

まさかのところから出た梨々香ちゃんへの助け舟に思わず目を疑う。

当の信洋さんは少しだけ楽しげで、季龍さんに笑いかけていた。

「心配なら、若も一緒に行ってくれば?お嬢とここちゃんと出掛けたことだってないんだしさ」

「勝手なこと言ってんじゃねぇ、信洋」

「もちろん、護衛はつけるし。暁、青海…とあれ?奏多がいない…」

「なんか急用とかでさっき出てましたよ」

「んー?んなこと聞いてないけど…まぁいいか。俺も行くし、それでもダメなら平沢さんにも声かけようぜ」

信洋さんは結構乗る気らしく、かなり前向きな提案をしてくれる。

梨々香ちゃんは目を輝かせて季龍さんを見ていて、季龍さんが折れるのも時間の問題なような気がした。

「…はぁ、今回だけだ」

「ほんと!?やったぁ!!平沢呼んでくるね!」

根負けした季龍さんに梨々香ちゃんは大喜びで屋敷の中に入っていく。それを見送っていると、季龍さんに手をとられて玄関の方へ連れていかれる。