編集者の言葉を聞いてますます会いたくなった。仕事で他の出版社に行くたびに聞いてまわった。
でも一切情報を得られなかった。今年の春、奇跡が起こった。俺はあの電車で天野 穂乃果に会えたんだ。そう、あの生意気な工藤 雪に。まさかあいつが天野 穂乃果だったとはな。驚いたな。知った時は。
確かにあいつの担当編集者が言った通りのやつだったな。お人好しで漫画バカ。そして諦めがかなり悪い。俺はそんなあいつに惹かれたんだな。俺の事を真っ直ぐ見て、外見だけじゃなくてちゃんと内面も見て向き合ってくれるあいつに。
だからこそ、言えない事だってある。あいつを傷つけて離れてほしくないからだ。