通いの掃除のおばちゃん達と、お客さんの部屋を掃除していく。

終わったら、廊下、玄関、広間、お風呂を掃除していく。

掃除が終わったら、お客さんが来る前に、自宅兼寮に戻る。

まかないの夕飯を一人で食べて、温泉に入り、四畳半の自分の部屋に戻り、幼馴染にメールを送る。

『今日も、無事だったよ。』

しばらく、スマホでゲームをして、温かい布団で眠る。

温泉旅館の娘に産まれたのに、接客の仕事をしない理由は、あった。

てんかんという発作の病気のせいだった。

薬は、毎日飲んでいたが、いつ発作が起きるかわからない。

疲れていたり、睡眠不足だったり、特有の音などで、発作は起きる。

跡継ぎには、お兄ちゃんがいるし、薬を毎日飲んだり、病院に定期的に通わなきゃいけないが、とりあえず今の生活に満足していた。