俺が最大限に沙都をガード出来たおかげで、パーティーは問題なく和やかに終わることが出来た。


「――楽しかったね。ホームパーティー」


夕暮れ時の通りを手を繋いで歩く。

沙都も満足げな表情をしているから、楽しい時間を過ごせたのだろう。


「ああ。こうやって、たまには人と集まるのもいいものだな」


俺は、どちらかと言えば誰かと集まって騒いだりするのが面倒だと思っていた人間だから。
意外に楽しめている自分がいて、新鮮だった。

そういうのも、沙都と出会ったからこその影響で、俺自身の気持ちの変化なんだろうな。

誰かとの出会いが違う自分を生み出していく。
沙都を好きになってから、そういうことをつくづく実感する。


「――でも、やっぱり眞は心配。人目を惹くんだよ、そのルックスは!」


拗ねたように沙都が言葉を吐いた。


「だったら、隠しておくか?」

「そんなこと、できるわけないし」

「そう。そんなことできないんだ」


路地裏に通りかかり、足を止める。


「俺も、いつ沙都の魅力に気付く奴が現れて、沙都をさらっていってしまわないかと心配でたまらない。でも、俺は沙都の傍にいるし、沙都も俺の傍にいる。俺は、その現実を大切にしたい。ありもしないことを予測したり悲観したりして、今ある幸せをないがしろにしたくなんかない」


沙都から離れたあの時のことを思い出すと、未だに胸がひりひりと痛む。

単純で大切な自分の思いを見失って、俺は、沙都を手放そうとした。
もう、あんな愚かなことはしたくない。

大切なことは一つだけだ。
どれだけ不安になっても迷っても、それさえ見失わなければ、きっと大丈夫。