身体中が、けだるい――。
翌朝目を覚まして真っ先に思ったことは、それだった。
覚悟はしていたし、生田の言う通り、多分心の奥底では期待だってしていた。
それでも、生田は私の想像以上のことをしてくるからとんでもないことになる。
でも――。やっぱり、幸せだった。
愛されているんだと、私に分からせようとしているみたいで。
心から愛された経験がないから、実際にそうなのか本当のところは分からないけれど、それでも私の心にそう訴えかけてくれる。
「沙、都……」
隣に眠る生田の腕が伸びて来た。
「おはよ」
「おはよう……」
寝起きの生田も、超絶色っぽい。その掠れた声は、下半身に響く。
「今日、仕事行きたくねーな」
「何言って……。早く支度しないと、遅刻する――わっ」
伸びて来た腕が私を抱きくるめる。
「多分、今日仕事にならない。職場でおまえ見る度、昨日の姿思い出す」
「バカっ」
昨日の姿――。それはダメ。絶対だめ!
「昨日、めちゃめちゃ可愛かった。あんな下着着て俺のこと待ってて……思い出しただけでにやける」
「もう、終わったことだから。すっかり忘れてしまっていいです!」
「バーカ。忘れるかよ。絶対に忘れない。もう、この目に焼き付けた」
「やめてっ!」
生田の背中を目一杯叩く。
「おまえが何やっても、もうただ可愛いだけだから。こういうの何て言うんだっけ……」
「知らない!」
「ああ、そうだ。デレデレって言うんだ」
そう納得したように呟くと、人をペットの犬か何かと勘違いでもしているかのように、わしゃわしゃと抱きしめて来た。
「ちょっ、ちょっと、生田!」
下腹部に何かあたってくるんですけど――!
「ああ、ゴメン。おまえの身体抱きしめてたら、興奮して来た。一回ヤってから出勤する?」
「ばかもん!」
すべての力を掻き集めて生田を突き飛ばした。
結局、甘かったのかなんなのか。
いろいろ企んだけれど、終わってみれば生田に翻弄されただけのバレンタインデーだった。
もう、ああいうことはやめておこう――。
ただ、それだけは思った。



