慌ててトイレに駆け込んだ。誰もいないのを確認してから、鏡に上半身を近付けて確認する。パッと見はちゃんと隠れている。でも、角度によっては見えてしまいそうで。
わざわざシャツのボタンを外したくせに、どうしてこんな際どい場所に―!
こんな状態じゃ落ち着いて仕事なんて出来ない。見た目、少し野暮ったくなるけれど仕方なくシャツのボタンを上までとめた。
心を落ち着けて自分の席に戻ると、生田の席が変わっていた。係長になったのだから、末席でなくなるのは当然のことなのだけれど。これまでは私のちょうど背後ろにいたけれど、もうそうじゃなくなるんだな――。そう思うと、ほんの少し寂しいと思ってしまった。
私も仕事に集中しなければ。仕事だ、仕事――!
パソコンの前に座り、年末から持ち越している仕事に一つ一つ手をつけていく。長期休みの後はこれだから、きつい。休んで鈍った身体に仕事量が多いと来ている。身体がこの生活サイクルに慣れるまでは、耐えるしかない。気付けばジャケットを脱ぎ、シャツを腕まくりまでして仕事に没頭していた。
疲れを感じ、一息つくことにした。手を前に突き出して身体を伸ばす。肩を回しながら、放っておいた同期からのメールを確認していった。



