大学生の時――?
それとも、社会人になってから――?
どんな人だった――?
知ったところでどうなることでもないことばかりが気になる。もちろん、これまでも生田の過去について考えることはあった。だけど、それはもやっとしたものだった。
でも、ああして写真なんかを見てしまうと……。
生々しく想像してしまう。実体を伴ったものとして私に迫って来る。写真の中の女性は、華やかできらきらとしたタイプというよりは、真面目そうでとても落ち着いた感じの良い雰囲気の人だった。そのことも、私の心をざわつかせているのかもしれない。そこに、生田の真剣な想いが現れているようで……。顔を見るのと見ないのとではこんなにも違うのか。振り払っても振り払っても、消えてくれない。
「ん? どうした? 黙ったままこっち見て来て」
ちらりと私に視線を寄こして来た。
「あ、ううん。なんでもない」
「そうか? でもまあ、知らない人に囲まれて一日過ごしたんだ。疲れたよな」
その声を優しいものにして、私を気遣ってくれる。
「ううん。会えてよかったよ。会わせてくれて、ありがとね」
そうだ。今、ここにいるのは私と一緒にいる生田なんだ。過去にばかり囚われてちゃだめだよね。無理矢理自分に言い聞かせ、生田に笑顔を向けた。
「俺も。おまえを紹介出来てよかったよ」
「うん」
私も前を向く。弱い心に負けちゃだめだ。こればかりは、自分の心との闘いなんだから。この闘いに負けないように――。



