臆病者で何が悪い!

「わぁ、可愛い! 子供の頃は、女の子みたいな顔してたんですね」

それはおそらく、3,4歳の頃だろうか。今とは違って、満面の笑み。ふっくらとした頬とくりっとした黒目が、さすがの美形。

「そうなんだよね。この頃までだったよ、眞を可愛いと思えたのは」

お姉さまも笑う。

「でも、本当に美男美女のご姉弟ですね……」

捲られるごとに、生田もお姉さんも少しずつ成長している。その成長と共に、その麗しい容姿が際立っていく。
お姉さんの高校の入学式と生田の中学の入学式の日が同じ日だったみたいだ。真新しい制服に身を包んだ二人の写真があった。高校生のお姉さんは――いわずもがな。溜息モノの秀麗ぶりだ。

「お姉さん、男の子から人気あり過ぎて困ったんじゃないですか? こんなに綺麗なら注目の的になっちゃいますよ……」

この口が思わずそう漏らしていた。

「男の子からは特別扱いのオンパレードだったかな……」

「私の惨めな学生時代とは正反対ですね」

「沙都ちゃん、どんな学生時代だったの?」

お姉さまもお姉さまで、私の見ていた世界が想像できないのか、興味しんしんな目で聞いてきた。だから、面白おかしく私の黒歴史の数々をご紹介した。