「ちっ……とんだ、邪魔が来た」

そう言って、生田が私から腕を離した。

助かりました……。ふーっと、大きく息を吐く。本当に心臓に悪い。

「――ああ。もう遅いし、寝る準備するよ」

もういつもの冷静な表情でお母様に返事してるし。私一人で息が上がっていて、変じゃないか。

「それにしても、この酔っ払い運び出さないと、布団も敷けねーよ」

突っ伏したままのお姉さまを見下ろしていた。

「眞、椿の部屋まで運びなさい」

「ほんっとに、迷惑かけまくりだな」

盛大な溜息の後、生田が「おい、自分の部屋に戻るぞ」と言いながらお姉さまを担ぎ始めた。うんうん言いながらも目は覚まさないようで、生田に引きずられるように連れて行かれていた。

「今日は、ありがとう。椿もいろいろ吐きだせてよかったんじゃないかと思うの。人に弱みを見せられない子だから」

そんな姿を見送っていると、そこに少し真剣な目をしたお母様がいた。

やっぱり母親なんだな……。あたりまえなのに、少しじんとした。

今日は、本当にいろんなことがあった。私は、お姉さまのことを考えていた。