その夜は、私も私でアルコールが身体中に回り、お姉さんと長女同士という妙な連帯感で意気投合し、語り明かしていた。そんな二人を、結局生田はずっと見守っていた。
「ほんと、しょうがない姉貴だよ……」
飲んで、喋って、泣き疲れたお姉さんは突っ伏して寝てしまった。
「……でも、すごく、いろいろ考えさせられた。人って、外から見ただけではその人を知ったことにはならないんだって。人それぞれ、何かを抱えてるんだね」
と、しみじみと答えながら立ち上がろうとすると、身体がぐらっとふらついてしまった。
「おまえもおまえだ。いくらなんでも、飲みすぎ。サービス精神旺盛すぎるだろ」
「だ、大丈夫だよ。これくらいの量なら」
腰を支えてくれた生田の腕に触れて、その腕を私の身体から離そうとした。
「でも――。おまえって、ほんと、いい奴だな」
「ちょ、ちょっと……っ」
お父様やお母様がいるダイニングからは死角になっているとは言え、すぐそこにいるというのに。生田が私の腰を抱き寄せようとする。
「いい女だ。俺、欲情しそうなんだけど、どうすればいい?」
「ど、どうすればって、どうもしなくていいよ!」
この人、もしかして、酔ってるーー?
お姉さまにしか意識が向いていなかったから忘れてたけれど、私たちが飲んでいたのと同じ時間だけ生田も飲んでいたんだ。
「眞ー? 沙都さーん?そろそろ寝る?」
お母様がこっちに来るよーー!



